奥深い魅力のアンティークロレックス

Deep charm of antique Rolex

腕時計の世界でアンティークと呼んで取り引きされているものは、40年代後半から60年代のものを指す。ここではアンティークロレックスの魅力について年代別に紹介していく。

奥深い魅力のアンティークロレックス

はじめに

一番の魅力は文字盤のデザイン

アンティークロレックスの魅力は人によってさまざまだが、やはり一番の魅力は文字盤のデザインだろう。他の時計メーカーに比べてロレックスは在庫数が多いため、とにかく種類が圧倒的に多いのだ。

文字盤の色、素材、数字の書体、長針短針の形・・・等々。同じ年代の同じデザインの時計でも、文字盤の色が違うだけで表情が大きく違う。ロレックスはそんな奥行きの深い楽しみ方ができる。

同じものが2つとないということ

もう一つの魅力は、大量生産の現代の時計と異なり同じものが2つとないということ。たとえ同じ時計でも、文字盤の日焼け具合などすべてが一品ものなのだ。

現行ロレックスもいいが、アンティークロレックスというのも悪くない選択肢かと。

30~40年代のアンティークロレックス

30~40年代のアンティークロレックス

個性豊かな美しい時計が多い

アンティークウォッチとして出回っている中で、もっとも古い部類に入るのがこの年代。古いだけに機械の程度が心配されるが、すでにオイスターケースが全盛を迎えていたロレックスだから比較的良好な状態のものが多く残っている。

手巻きのオイスターとオイスターパーペチュアル

ロレックスが初めて実用化したローターの回転を利用した自動巻き機構、パーペチュアルは1932年に完成している。したがって、この年代の主力は、手巻きのオイスターとオイスターパーペチュアル。日付表示付きのデイトジャストも45年に発売されている。

長方形ケースのプリンス

オイスター以前のロレックスを代表する長方形ケースのプリンスは、20年代から40年代後半に作られた。アール・デコ様式の影響を受けた優雅なデザインの時計で、アンティークロレックス好きにとっては希少価値のある時計だ。

中には秒針が下部に独立してつけられたタイプもあり、それらはドクターウォッチと呼ばれている。これは医者が患者の脈拍を計るために使いやすいように時分針と秒針が完全に分かれてつけられたためという。もちろん、精度も非常に高かった。

ドクターウォッチはとくに珍しく人気のあるアンティークだ。古いのでメンテナンスはしっかりしなければならないが、個性豊かな美しい時計が多いのが、この年代のアンティークロレックスだ。

50年代のロレックス

50年代のロレックス

アンティークロレックスとして一段と数が多くなってくるのがこの年代。この頃にはロレックスの評価は定まり、人気が高まって製造数も増えてきていた。それだけに多くのモデルが作られてバリエーションも豊富になっている。

陸・海・空のスポーツ時計を開発したのが50年代

53年には水深100mまでの防水性能を誇るプロダイバー用のサブマリーナを発表。翌年には200m防水モデルを発表している。

55年にはパイロット用としてGMTマスターを発表している。冒険者を意味するエクスプローラーを発表したのもこの頃。現在でも定番のベストセラーを開発したのが50年代ということができる。

ヒラリー卿がエベレスト登頂に成功したのもこの頃で、ロレックスは腕時計による世界制覇を目指したのかもしれない。

30年代から作られはじめたオイスターパーペチュアルの中で一部のモデルがバブルバックと呼ばれる

アンティークロレックスの代表的なモデルであるバブルバックは、実はモデル名ではない。30年代から作られはじめたオイスターパーペチュアルの中で一部のモデルがこう呼ばれる。

30年代、ロレックスはパーペチュアルの成功から自社製のムーブメントにこだわりはじめる。この中のひとつに手巻きムーブメントに自動巻きローターを追加したタイプのものがあり、ローターの分だけ厚みが増し、厚みが増した分だけ裏蓋が膨らんだ。これがバブルバックの由来だ。作られたのは30年代中期から50年代後期。

60年代のロレックス

60年代のロレックス

クォーツ登場により揺れた60年代

60年代の時計業界には未曾有の技術革新の嵐が吹き荒れた。それがクォーツ時計の登場だ。ロレックス社は1945年に、創業者のハンス・ウイルドルフが新たな基金を作り、この基金のもとでロレックス社が運営されるようになった。

これは、自分の没後にロレックス社の運営が見ず知らずの人間にわたることを恐れたため。後にクォーツ登場後の混乱期に、多くのスイスの名門が経営権を失い、あるいは倒産してしまった。

ロレックス杜がこうしたスイス時計の苦難の時代をものともせずに生き残り、君臨しているのは、人気ばかりではなく、ウイルドルフの英断のおかげでもあったろう。

60年代のロレックスを代表するモデルといえばデイトナ

60年代のロレックスを代表するモデルというと、デイトナだ。この時計も正式にはコスモグラフと呼ぶ。デイトナの呼び名の由来は、59年にオープンしたアメリカフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイの公式計時を担当したためという説が一般的だが、はっきりした記録は確認されていない。

30分計、12時間計、タキメーターにテレメーターを備えた手巻き式クロノグラフだった。このデイトナは61年から70年代初期までの短期に作られただけで希少価値が高い

アンティーク入門にバブルバックという手も

アンティークウォッチの楽しみは人それぞれに違うものであるが、アンティークウォッチには共通の価値があることも確かだろう。「ちゃんと動く」「狂わない」などは、その代表例だ。

アンティークだから精度が悪くても仕方がない、故障が起きても当然というのは、アンティークを知らない人の言葉だ。

そんな間違った認識を改めるには、きちんと手入れをされたバブルバックなどを使ってみるのが1番。使っているうちに、そのすばらしさを知ることになるだろう。

バブルバックとは

バブルバックとは、手巻きモデルにローターを取り付けて自動巻きにしたため、腹の部分が丸くふくらんでいるモデルの愛称。

バブルバックの魅力はふくらんだお腹というのもあるが、その小ぶりな姿も魅力の一つ。小さいけれどよく動くし精度もいい。

郷愁とも味わいとも表現できる何かを、バブルバックは持っている

バブルバックは、現行モデルにはないよさがある。というのも、古きよき時代に誕生した腕時計ならではの、郷愁とも味わいとも表現できる何かを、バブルバックは持っている。バブルバックはアンティークを超えた傑作なのである。

アンティークには、ときどきフーデッドと呼ばれるものがある

バブルバックなどロレックスのアンティークには、ときどきフーデッドと呼ばれるものがある。フーデッドとは、英語のフードが語源になっているとおり、腕時計のケースとブレスレットのすき間を覆うものという意味

昔は腕時計のベルトは革製品がほとんどだった。その後、ブレスレットタイプのものが登場するようになるが、ケースは革ベルト用に作られたものがほとんどなので、ケースとブレスレット間にすき間ができてしまった。これではどうもかっこ悪いというので、そのすき間をカバーする工夫として生まれたのがフーデッドだ。

まとめ

アンティークといえども使えることが大前提

腕時計の世界でアンティークと呼んで取り引きされているものは、40年代後半から60年代のもの。これは、一般的なアンティークのイメージからいえばかなり新しい。というのも、腕時計という商品の最低条件として、ほぼ完全に動き、時を刻むという機能が保たれていなければならないからだ。

アンティークロレックスを購入するのであれば使用できるものが大前提ということは抑えたうえで欲しいモデルを探すことをおすすめする。

末永く使うために

アンティークロレックスというだけあって、製造から結構な時間が経っている。そのため、経年劣化などによって新品に比べると不具合が生じやすい

そのため、アンティークロレックスは購入時のコンディションをきちんと把握しておくことや、購入店選び、メンテナンスがいずれも大切。これらのことに注意して使用すれば長い間使用できるため、アンティークロレックスの購入を考えている人はきちんと把握しておきたい。

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