正規品と並行品の違いは何か
ロレックスの正規品と並行品の定義
正規品とは
メーカーから正規代理店を経由して直接店頭に並ぶものを「正規品」と呼ぶ。ロレックスの場合は正規品と証明するため、裏蓋に日本ロレックスのシールが上貼りされるとともに、本来ロレックス本社が発行しているワールドギャランティ(国際保証書)に代わるものとして日本独自の保証書を発行している。
並行品とは
海外の正規代理店・正規販売店から直接仕入れられて販売店の店頭に並ぶのが「並行品」。各国の販売店では、本来はその国内での販売がメーカーより義務付けられているため、一旦「販売した」とする必要があり、国際保証書には並行輸入店が仕入れを行なった日付が入るのが一般的。
仕入れルートが違うだけで商品自体は同じ
輸入ブランド製品などでは、よく「正規品」「並行品」といった言葉が使われているが、ロレックスは、どのモデルも全てスイスのジュネーブで生産が行なわれているので、時計自体に注目すると正規品も並行品も仕入れ方法の違いにより呼び方が異なるだけの差。「並行品は偽物だ」と勘違いしている人も希にいるが、製品自体は全く同じもの。ただ、仕入れルートが違うため、正規品と並行品では実際に販売されている価格が異なる。
並行品の中には、オープンギャランティと呼ばれ、国際保証書が完全に未記入のまま販売されていたり、実際に買った日付より前の日付が入っていたりすることもあるが、これらは各国の販売店の事情によるもので、商品自体の価値を損なうものではない。いずれにせよ、並行品の国際保証書は本物であることの証明書として考えればよい。
正規品と並行品はどっちが得か
正規品は日本国内どこで購入しても同じ金額
正規品の場合は、ケースの裏蓋に日本ロレックスのシールが貼ってあり、日本ロレックスの保証書(ギャランティ)が日本語表記で後日郵送方式(購入者の氏名と住所入り)にて送られてくる。これによって、正真正銘の持ち主であることが証明される。
価格の面でも違いがある。人気モデルは慢性的な品不足なので、並行品の場合は市場価格が高騰しており、並行品の多くが日本国内の定価よりも高く販売されている。一方で販売価格が定められている正規品は価格が一定で、市場の状況に合わせて値上がりするようなことはないため、並行品より安く購入できる。(スポーツモデル以外は並行品の方が安い場合が多いが)
正規品の問題点としては品薄なこと。ステンレススチールのスポーツモデルは特に人気なので、正規店で販売されていることはほとんどない。実際、大都市の規模の大きい店舗を複数回ってみたが、ステンレススチールのスポーツモデルを扱っているところはなかった。(ゴールドモデルのような非常に高価なモデルは一部販売されている)
なお、正規店の多くが入荷待ちを受け付けていないため、購入することすらできない状態でもあるということも知っておこう。
並行品は販売店ごとに価格が異なる
これに対し、並行品は販売価格の設定は店舗ごとに決めているため、販売店ごとに価格が異なる。定価というものが存在しないので、人気モデルであれば高い販売価格になっているし、普通のモデルは定価よりも安い価格で販売されることが多い。
ロレックスのスポーツモデルの多くが国内正規品よりも高価だが、正規店では品薄のため店頭には並ぶことのないデイトナやサブマリーナなどのモデルが、並行品を扱っている店舗であれば店頭で販売していることが多い。そのため、欲しいと思ったときに買うことができるのが大きなメリット。また、通常のドレス系のモデルは正規店で購入するよりも安く購入できるモデルも多い。
他にも並行店の中には海外から輸入されることから、通常なら日本ではお目にかかれない珍しいモデルが流通することもある。
並行品に関する一般的なメリットとデメリット
並行品のメリット |
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正規品のメリット |
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正規品と並行品の価格比較
モデル名 | REF. | 正規品 | 並行品 |
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エクスプローラー | 214270 | ¥669,600 | ¥719,900 |
エクスプローラーⅡ | 216570 | ¥831,600 | ¥858,000 |
サブマリーナ | 114060 | ¥766,800 | ¥955,000 |
サブマリーナデイト | 116610LN | ¥874,800 | ¥1,140,000 |
デイトナ | 116500LN | ¥1,274,400 | ¥2,540,000 |
※2018年9月時点の価格比較。並行品は当日の価格.com内の最安値を記載。
現在の大半のスポーツモデルの販売価格が国内定価を上回っている
世界的な品薄状態が半場価格の上昇を招いている
ここ数年、ロレックスの実勢価格相場は大きく高騰している。本来であれば"国内定価よりも割安で購入できる"というのが並行品の一般的なメリットだが、現状ではデイトナやサブマリーナだけでなくそれ以外のスポーツモデルの販売価格が国内定価を上回っている。
スポーツモデル高騰の直接的な原因の一つに、新品のロレックス流通量が大幅に減ったことが挙げられる。日本国内の正規販売店で新品のスポーツモデルを見ることができないぐらい流通量は非常に少ない。さらに海外の正規店も同様に品薄という状態である。
販売店舗としては人気商品であるロレックスは揃えておきたい
並行品を扱っている店舗では、ロレックスという人気商品が店頭に並べることができないと、品ぞろえが薄いと思われてしまうため、仕入れに大きく力を注いでいる。2010年以前はドイツ、イタリアを中心としたヨーロッパ、香港からの仕入れが大半を占めていたが、それらの正規店でも品薄の状態になっているので、現在は中東の新興国や韓国などからも仕入れを行っているのが現状。
通常、ブランド時計の実勢価格は、円安になれば値上がり、円高になれば値下がりするというように、為替の変動に大きく影響する。ただ、現在の状況は為替の変動以上に、新品ロレックスの流通不足の影響が価格高騰に繋がっている。
メーカー側としては国際的なブランド力を保つためにも世界中のどこで購入しても同じ正規価格になるのが望ましい
一般的にはメー力ー側としては国際的なブランド力を保つために世界中のどこで購入しても同じ正規価格になるのが望ましい。そのため、各国における販売価格差があまりないように調整を行いたいのが現状。
ただし、世界中でまんべんなく人気のブランドでない限りはこの調整はできないので、国によって品物の価格差ができるのが現実。並行品市場は国内外の価格差と為替をうまく利用し、安く販売されている国で仕入れて、日本で国内定価よりも割安に提供するというやり方で現在の市場を確立してきた。
しかし、現在ではロレックスが世界中で人気のブラントとなったため、流通不足と相まって、海外の安く販売している国で仕入れるようなことができなくなってきている。並行品の仕入れ価格が上がれば販売価格が上がるのは当然のことともいえる。
並行品取扱店では中古品や生産終了品の価格も上昇している
なお、この影響を受けて中古ロレックスや生産終了品の相場もすでにかなり上がっている。新品相場が高騰すると少しでも予算を抑えようと中古市場に注目が集まるが、ロレックスの場合、新品実勢相場が右肩上がりの状態が長く続いていたために、中古品や生産終了品の相場もすでにかなり上がっている。驚くべきは中古品でさえも、国内定価を上回っているモデルが少なくない。
正規品か並行品、いずれを選ぶのが正解か
ロレックスは正規品、並行品ともに同等のメーカー保証、サービスが受けられる
基本的には正規品・並行品ともに、保証書記載の内容でメーカー保証(内部機械の自然故障に対するもの)が受けられる。その後のアフターサービスやオーバーホールについても、正規品・並行品ともに日本ロレックスでは同等のサービスを受けることが可能だ。国際保証書の保証以外にも、販売店舗によっては独自の長期保証がつく場合もあるため、確認しておきたい。
また、大型電気店・カメラ店の中には保証をつける場合、購入金額の1割(100万円の時計なら10万円)を出さないと保証を受けられないお店もあるようなので購入する前にしっかり問い合わせておこう。
スポーツモデルの多くが価格差はあるが手に入れる現実的な方法は並行品のみというのが現状
ロレックスのスポーツモデルは一般的な並行品の状態と異なり、並行品の実売価格とロレックス日本定価を比べると並行品が高いという状態になっている。これだけ見ると正規店で購入することが最も良い選択肢と思えそうだが、現実的にスポーツモデルが店頭に並んでいることは非常に少ない。予約も受け付けてくれない店舗がほとんど。そのため、ロレックスが欲しいと思ったら並行品で購入するしかないというのが現状だ。
並行店で購入するのであれば保証サービスのことも考慮しておく
正規品と並行品の違いは価格だけではない。それは、購入後のアフターサービスだ。正規店で購入した場合、購入してから2年間の保証期間が設けられている。一方、並行品の場合は、お店によりサービスが大きく異なる。
正規品よりも短い1年というお店もあれば、3年や5年のように独自の長期保証サービスを展開しているお店もある。また、機械式腕時計は数年おきのオーバーホールが必須なので、オーバーホールのサービスなどがあるといい。同じ並行品を選ぶのであれば、保証サービスがついている店舗で購入したほうが安心だ。