数多ある腕時計の中から最愛のロレックスを選び抜くために、注意すべきことやその着眼点について紹介する。
はじめに
ほとんどの人が携帯電話やスマートフォンを持っている現代で、機械式腕時計をつける必要があるかと考えてみると、「時計は不要」という身も蓋もない結論に達する。なぜなら、時刻を知るという目的であれば機械式時計よりもスマートフォンのほうが正確だからだ。
でもこれは時刻を知るという用途に限った話。腕時計は時刻を知るという役目の他にも、自分自身を飾るアクセサリーの一種でもある。時刻を知るために時計を着用するもしないも人それぞれだが、アクセサリーとして使うのであれば何からかのこだわりが欲しいもの。
腕時計はその人を映す鏡
会社によっては、派手な腕時計をつけてはいけないという会社もある。逆に高額な商品を取り扱っている会社で働く人は、それなりに高額な腕時計をつけることで顧客のステータス感に見合うことを求められる会社もある。
逆に、例えばホテルマンは相手の時計や靴を見てどのような人かを推測する手がかりにしてこちらに接してくることも。
前述したものと重複するが腕時計は人物や人柄、さらには懐具合までを推測するツールの一種なのだ。自分の人となりを知らしめるツールであれば、ますます腕時計選びに慎重になるかもしれない。しかし逆に上手に使えば、自分に自信をつけることができるとも言える。
たとえば面接に行く場合、商談の場合、あるいは気になる異性に会う場合など、必要な局面で、自分のステータスを高めるアイテムとして使えるのだ。
心得1.愛着が持てる時計かどうか
自分にとっての価値観がなによりも重要
そもそも腕時計の価値とは、どのようなものを指すのだろうか。ブランド力があり、希少な金属が使われていて、時計自身が高い品質で飽きることなく使えるもの、というように、時計そのものの価値にばかり注目してしまいがちだ。
しかし、腕時計にどのような価値があるかは、それを使う自分自身の判断に他ならない。口コミサイトや雑誌でのレビュー、買い取り時の査定額など、様々なソースを元にした絶対的価値も大切だが、その時計は自分が着用するものなのだから、自分にとっての価値観が最も重要なのだ。
高級なものだと何千万円、何億円というモデルもある機械式腕時計の世界なので、金銭的価値にこだわりすぎてしまうとどのような時計を選んでいいのか全くわからなくなってしまう。
一方で安く購入できた機械式腕時計であっても、何十年と使える性能を持ち、所有者にとって掛け替えのないものならば、それは価値ある機械式腕時計に間違いない。
投資目的でもいいが……
投資目的で時計を購入する人もいる。そうなると、自分の好みで選ぶのではなく、値打ちが下がらないという視点で時計を探すことになる。
確かにロレックスは価値が下がりにくい機械式時計なので、投資目的が悪いわけではないが、値下がりしないから選ぶのではなく、購入したロレックスに愛着を持てるものを探してほしい。
価値が下がりにくいブランド一例
- パテックフィリップ
- パネライ
- ロレックス
- IWC
- ブライトリング
その時計を大切にできるか
大事なのは、自分とその時計との関係性。その絆が深いほど、長く使える機械式腕時計としての価値が高まるものだが、その一歩となるのが相手を知ることだ。
背後にある歴史に想いを馳せ、心を動かされるものが、長い間使える機械式時計の大前提となる。
ブランドが誕生した経緯や開発の背景、仕組みなどを理解していくうちに、その時計との距離が縮まってくる。特にロレックスの歴史は長く、様々な逸話を持っている。それらに触れることで、ありがたみが増すし、大事にしようという気持ちも高まる。
どういった自分を演出したいのかを意識する
ベストな時計とは、究極に言えば、演出したい自分が着用してそうな時計。腕時計が必要になるのは、その時計がもっている要素が自分に不足していると思っている場合が多い。
例えば、もっと誠実さが欲しいと望むのならシンプルな三針モデルを好むだろうし、好調の自分をアピールしたいなら誰の目にも留まる派手なデザインを着けるかもしれない。
腕時計はブランドもモデルもたくさんあり、その中でも更に多くのモデルを各ブランドからリリースしている。しかしながら、結局はシンプルでフォーマルな装いにふさわしいドレス系か、クロノグラフやダイバーズなどのスポーツ系に大別できるし、そこから個別に細分化して自分の好みに適した時計を探していくといい。
あとはこの腕時計をつけて、どういった自分を演出したいのかを意識すると、満足いく時計選びができるようになる。
心得2.王道はシンプルで時計本来の役目を果たすものという前提を心得ておく
究極のデザインとは極力飾り気のないモデル
機械式時計の王道といえば、やはり極力飾り気のないモデルになる。3針でもクロノグラフでも、シンプルなデザインほど時計として使いやすい。要するに時間が読みやすくて時計としての役目をしっかり果たしてくれるもの。
なお、ロレックスは基本的にシンプルで時刻の可読性が高いモデルが多く基本的にどの時計でもこの条件には当てはまる。
デザインに遊び心が溢れた型破りの時計はつけていて楽しいのだが、絶対にいつか飽きてしまうので、長く使いたい場合は避けたほうがいい。
もちろん、遊びで使っても惜しくない値段なら、飽きるのもその時計の魅力と割り切って楽しむのがいい。
ゴールドケースの時計もいい
長く使いたいのであれば、ゴールド素材のモデルも魅力的。手入れもそう難しいものでもないし、金自体に永続的な価値があるというのも、長く使いたくなる要素になる。
また、ゴールドケースにもシルバーゴールドやピンクゴールドがあり、バリエーションは豊富。特にピンクゴールドは日本人女性の肌の色にマッチしやすく女性に人気。
ゴールドケースについての注意事項
汚れを落とすクロスは使う度にそれ自体も汚れてしまい、時に繊維の間に塵が入り込む。何度も使ったクロスで拭くと、実は目に見えないキズがついている。
さらに、ステンレススチールと比べ18金は柔らかい。テーブルや空中にある塵埃の中には金属質のものなど硬いものも存在する。それらがついたクロスで拭うと目に見えない無数の小キズが生じ、ケースを曇らせるというわけだ。ケースがうっすら曇ったら、クロスを疑おう。
クロスは定期的に中性洗剤で洗ってあげることで、このようなトラブルを防ぐことができる。また、機械式時計のクロスとして代表的なセーム皮のクロスは、革素材ながらも洗うことができるので繰り返し使える。
心得3.長い間使えるかどうか
アフターサービスが確かなブランドかどうか
長い間使い続けるのだから、すぐに壊れてしまうようではどうしようもない。積極的に着用しつつも、強い衝撃を与えたり落下させたりしないようにするのは当然だ。しかし、それでも壊れるときは壊れてしまう。
問題は壊れてしまった後で、時計を修理できるかどうかが大切。要は、アフターサービスが確かなブランドかどうかも選ぶ際のポイント。
一生懸命お金を貯めて購入した時計だったのに、壊れて修理に出そうとしたときに、そのブランドが対応できなかったり、なくなってしまっていたりしたら困る。
アフターサービスが整っているブランドはたいていそれを主張しているし、歴史の長さもひとつの指針になる。
ロレックスはその点では非常にアフターサービスに優れ、正規の修理店では海外で購入したロレックスはもちろん、中古で購入したロレックスであっても修理対応してくれる。
実力のある新興ブランドも少なくないが、百何十年と長い歴史を持つ老舗ブランドは、それだけ多くの経験をつみ重ねてきているという事実がある。メンテナンスの対応にも優れているし、自分が存命中はブランドがなくならないだろうという希望も持てる。
信頼のおけるブランドであるほど、そこから作り出された時計が長い間使える時計になる可能性は高いというわけだ。
正規販売店で購入するとアフターサービス優遇があるブランドも
機械式時計を販売している店舗形態はインターネット上の店舗や並行輪入店などが存在する。機械式時計の場合は定期的なオーバーホールは必要だが、フランクミュラーのように、国内正規店で購入したものでないと、オーパーホールを受け付けてくれないというブランドもある。
一方で、国内の正規販売店で購入したユーザーに対しては、ブライトリングのようにオーバーホール料金を割引してくれるブランドもある。価格的には割高な正規販売店だが、長い目で見れば正規販売店で購入したほうが安心という人もいる。
ちなみに正規販売店には、さまざまなブランドの腕時計を取り扱う「時計店」と、単一のブランドのみ扱う「ブティック」がある。既に購入したいブランドが定まっているならブティックに行くほうが商品点数も店員さんの知識も豊富なので安心感がある。
しかし時計店であれば、他ブランドの腕時計を見比べながら時計を選ぶことが可能になる。どちらにもメリットがあるので、状況次第で使い分けたい。
時計店 | ブティック |
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数十年単位で使えるのが機械式時計のいいところ
機械式腕時計はどれだけ古いものであっても、パーツは旋盤や工具を使って代替品を作り出すことができるので、優秀な時計修理人さえいれば修理は可能。
ただ、修理する前提で時計を選ぶのではなく、壊れにくい時計を選ぶのも大事。クロノグラフのような複雑な機構のものよりも、三針モデルのようなシンプルなもののほうが壊れにくく、修理しやすいことを覚えておこう。なお、「修理しやすい=修理・オーバーホール費用が安い」ので、何十年も維持していくのであればその維持費用も大きく変わってくる。
三針モデルでもクロノグラフのような複雑なものでも、日々のメンテナンスと定期的なオーバーホールさえしっかりしていれば自分の購入した時計を孫の世代にも残せる作りになっているのだ。
なお、クォーツ式時計は精度が高く、動いている場合には問題ないだが、基盤や部品が次々に新しくなっていく世界なので、時代が経つ毎に修理が難しくなっていく。
心得4.ライフスタイルに合ったものかどうか
自分自身のライフスタイルとはどのようなものか
自分にとって最適な時計は、自身が使いたい場面で使えるかどうかも大きな要因になる。
どれだけすばらしいダイバーズウォッチを手に入れても、ダイビングやヨットなどの海でのスポーツにまったく関心がなければ、ダイバーズウォッチとしての価値を見出すのは難しい。
逆に休日にはマリンスポーツを趣味とする人が優美なドレスウォッチを買っても、水の浸入を嫌って休日はほとんど着用できない。
つまり、自分の趣味嗜好において、適しているかがポイントとなる。
もちろん、そのデザインを気に入って購入するのであれば特に問題はないが、その時計の本来の使い方に適合していないのであれば多少もったいないかもしれない。
こんなライフスタイルの人はこんなモデルがお勧め
タイプ | オススメのモデル |
---|---|
ダイビングなどマリンスポーツの機会が多い人 | ダイバーズウォッチ |
フォーマルな場に出ることの多い人 | シンプルなドレスウォッチ |
海外への出張や旅行が多い人 | GMT機構を持つ旅時計 |
他の人と違う一品物が欲しい人 | アンティークウォッチ |
積極的に着用することも大切
機械式時計は繊細なモノというイメージがあるため、高価なモデルになるほど後生大事にしまっておきたいという人もいるかもしれない。
しかし、素材や構造の開発競争が進んだ結果、時計はどんどん頑丈になっている。腕時計を着用した状態でゴルフやテニスをすると時計に大きな衝撃を与えてしまい、最悪の場合壊れてしまうので、強い衝撃を与えるスポーツを行うのであれば、衝撃に強くなるよう開発されたGショックなどの時計をつけるしかない。
しかし、日常生活を送る程度で機械式時計が壊れることはないので、積極的に着用することも大切だ。その行為が自分と時計との距離感を近づけ、絆を育んでいく。
時計は人に使うために作られた工業品であり、大金を捻出したからといって、ショーケースに飾っておいたり、タンスの肥やしにしたりするのではもったいない。
道具として積極的に使ってこそ時計としての魅力が引き出され、やがては大切な時間を計ってくれる相棒になってくれる。
傷がついても補修可能なので日常使うことを恐れない
各種機械式時計を扱っているブランドは時計に故障が多いというイメージがついてしまうと、ブランド名に傷がついてしまいユーザー離れを招いてしまう。そのため故障しづらくするために様々な工夫を凝らして可能なかぎり壊れにくい時計を作っている。
傷に関しても、少しの傷は日常使っていれば必ずつくものだし、それはそれで腕時計の魅力の一つ。
ロレックスであればGMTマスターⅡのように、ベゼルに傷がつきにくい素材であるセラミックを使用したモデルや、その他メーカーではケースそのものにセラミック素材を採用しているモデルが増えており、傷への対応策も時代を重ねる毎に進化している。
万が一、ケースを壁などで擦ってしまいケースに通常つかないレベルの傷がついたとしても、オーバーホール時などにケースの磨き直しをお願いすれば、そこまで傷が深くないのであれば綺麗になって戻ってくる。
なお、この場合は傷がなくなったのではなく、ケースの傷まわりを研磨して傷をなくしているので、何度も研磨するとケースの頑強さを確保できないため、ある一定数以上は研磨できないので注意。
風防の傷には注意
時計表面のガラス部分である風防はサファイヤクリスタルなど非常に固く傷がつきにくい素材を使っている時計が多い。ただ、傷がつかないというものではない。また、傷がついてしまった場合は研磨による傷隠しが不可の場合があるので、十分注意すること。
心得5.自分の時計について知っておく
防水性能
日本は湿気が多い国なので、防水性が高いことも大切。精密な金属パーツをたくさん使っている機械式時計は、水分に弱いという弱点がある。もし時計内部に水分が侵入してしまい、そのままにしておくと、錆が発生して時計が動かなくなる。こうなると修理が必要。
さらにそのまま水分を放置していると錆部分を起点として錆びが広がっていき、最悪の場合使用不能となってしまうのだ。そんな悲劇的結末を防ぐためにも、なによりも防水性能の意味を理解しておきたい。
普段生活する分には、3気圧の防水性があれば充分。サブマリーナなどのダイバーズウォッチは300m防水なので、ダイビングなどでも十分使用できる。
なお、アンティークモデルには防水性か高くないものもあるので汗をかきやすい状況や少量の雨の状況でも濡らさないようにすること。湿気すら苦手なので十分注意したい。
もちろん、防水性の高い中古モデルであってもオーバーホールやそれまでの扱い状態によっては、防水性が大きく落ちている場合があるので購入の際にはよく確認してから購入しよう。
防水性能
防水性能 | 対応可能 |
---|---|
日常生活防水(3気圧防水) | 洗顔や手洗いなどで水がかかる程度 |
50m防水(5気圧防水) | 水仕事をしても問題ない程度 |
100m防水(10気圧防水) | ボンベを用いない素潜り程度 |
300m防水(30気圧防水) | 本気のダイビング |
3900m防水 | 深海調査用 |
一般的なゼンマイの持続時間は40時間ほど
機械式時計は巻き上げたゼンマイがほどける力が動力源。そのためゼンマイが完全にほどけきったら時計は止まる。
機械式時計のオーナーであれば、時計が止まったからといって故障したと思う人は少ないだろうが、ゼンマイの持続時間は意外と短く、標準的なムーブメントは、時計を巻かずにいれば40時間前後しか動かない。
つまり金曜日の夜に帰宅して時計を外した場合、翌々日の月曜日の朝には止まっているということになる。しかしこの状況は不便であるため、各ブランドが稼働時間の長いロングパワーリザーブモデルの開発に力を入れている。
72時間動き続けるパワーリザーブモデルも増えてきている
近年増えているのが、週末をまたいでも動き練ける72時間(3日巻き)パワーリザーブモデル。日本が誇るブランドであるグランドセイコーの自動巻スプリングドライブなどが実装している。これであれば、金曜日に仕事で使って、土日使わないという人でも、月曜日は稼働したままの時計を着用して仕事に行ける。
なお、パワーリザーブ機能も日々進化しており、グランドセイコーは8日間パワーリザーブというモデルも世に出している。
心得6.維持費が必要ということを肝に命じておく
機械式時計はメンテナンスが必要
時計の故障は突然訪れる。原因は様々だが、その一つがメンテナンス不足。機械式時計は精密機械なので、きちんとメンテナンスを行わないと劣化が進みやすい。
ふと気付くと時間が大きく狂っていたり、精度が大きく落ちたりすることも。この場合はなかなか時計の以上には気づきにくいのだが、最も気づきやすいのが、ある日着用しようとしたら動かないこと。こうなってしまうともはや重症だ。
重症になればなるほど、修理料金も高くなる。そうならないように日々のメンテナンスとともに、定期的なオーバーホールも必要だ。しかしながら、オーバーホール料金は決して安くはないことが悩みの種。
例えばロレックスであればエクスプローラーⅠのようなシンプルな3針モデルと、デイトナのようなクロノグラフではオーバーホール料金が異なる。これはクロノグラフのほうが、内部構造が複雑な分、必要作業が多いため。この2つにはそこそこの差額があるので、数十年維持していく場合必要な費用が大きく変わってくるので、時計購入前にはその点も気をつけておこう。
オーバーホール料金例
エクスプローラーⅠ | デイトナ | |
---|---|---|
1回のオーバーホール料金 | ¥45,150 | ¥63,000 |
5回(25年) | \225,750 | \315,000 |
※価格は一例。価格は内部の状態によって異なる。
定期的なオーバーホールをしないとどうなるか
故障内容 | 詳細 |
---|---|
ケースが錆びる | 裏蓋とケースの間にある防水用パッキンは経年で劣化していく。パッキンが劣化して隙間に長く湿気が留まるようになると、ケースがステンレススチールであっても錆びる。錆が深く進行している場合は研磨では対応できず、交換のみしか対処する方法はない。こうなると非常に高額な修理費用になる。 |
ゼンマイが切れる | 常に強いストレスが掛かるゼンマイは、意外と簡単に切れてしまう。切れやすいのは最も力が掛かる香箱芯近く。ちなみに、ゼンマイは消耗品で、オーバーホール時に交換する場合が多い。 |
歯車が摩耗する | 本来はキレイな歯車であるはずが、長年使用して経年劣化していき軸が摩耗すると、歯車が外れてしまう。また歯車をコーティングする役目を持っているオイルだが、軸などの摩耗した金属粉を含んでしまうと、時計内部が金属を含んだオイルで汚れていく。 |
巻き芯が錆びる | 巻き芯が錆びるのは、リューズに設置されたパッキンの劣化が原因の一種。浸入した湿気のせいで巻き芯がひどく錆びてしまうとリューズは動かなくなり、交換が必要。 |
穴石の油切れ | 歯車などの駆動部分の軸受けとなる穴石には、動きを円滑にするオイルが満たされている。長期間の使用でオイルが飛散・蒸発すると、摩擦が大きくなり動きが悪くなる。 |
プッシュボタンが固まる | 防水パッキンの不良・劣化が原因のことが多い。侵入した水やホコリがオイルと混じり、劣化して固まり、プッシュボタンの動きを妨げる。巻き芯と同じく錆びてしまうケースも。 |
磁気帯び | 機械式時計は磁気をムーブメントなど時計内部に帯びてしまうと、精度が落ちてしまう。時計の保管時に磁気帯びしてしまう原因となる事が多いので保管場所も注意が必要。 |
故障してしまうと修理費用は割高になる
例えばクォーツ式の時計が突然動かなくなったのであれば、原因のほとんどは電池切れだ。電池を替えれば無事解決だ。しかし機械式となると故障の原因は実に様々。
修理は時計を全て分解したうえで原因を探るところから始まる。時計は非常に細かい大量のパーツから成り立っているので、その作業は非常に大変なもの。そこから必要な箇所を修理するなど、細かい作業が必要で時間もかかる。
長い間使用することで、時計内部品は経年劣化していくが、この劣化によって不具合が生じた部品は、時計全体を分解しなければ、取り外すことができない。
不具合を修理し、あるいは新品に交換したら、全体を洗浄してオイルを注し、組み立てて元に戻すことになる。この工程は、オーバーホールと同じだ。
さらに、修理が終わって元に戻した後は時計の精度が正しいかどうかのチェックのために、長い時間をかけて精度チェックを行う。ここまで手をかける必要があるため、時計のオーバーホールや修理費用は高額になる。
故障による修理費用一例
- 時計がすぐに止まってしまう 10,000円~
- 時間の遅れや進みが激しい 3,000円~
- ゼンマイが正常に巻けない 4,000円~
- 時計が急に動かなくなった 10,000円~
結局、同じことをするなら、壊れる前にオーバーホールを行うことが、良好なコンディションが保て、大きな故障も未然に防ぐことができるのだ。オーバーホールについて詳しくは「オーバーホールとは」を参照のこと。
長時間時計を使わない場合はどう保管したら良いか
長期間使わない時計の最善の保管方法は、動かし続けること。というのもオイルが硬化したり偏ってしまったりすることが懸念されるから。自動巻きなら時計を自動で動かしてくれるワインデイングマシーンを使用するという手もある。
仕組みは単純で、時計を回転させてゼンマイを巻き上げるのだ。特に、止まると再調整が面倒なカレンダー付きは、ワインデイングマシーンが大活躍する。
一方で手巻きは毎日巻くのかという問題もある。しかし、1ヶ月程度止めていてもなんの問題もない。
なお、保管する際は磁石の近くに置かないこと。磁石の近くに長く置くと時計内部が磁気を帯びてしまって磁石化してしまい、故障の原因となる。詳しくは「ロレックスが動かなくなったら磁気帯びの可能性も」を参考にしたい。
磁気帯びを避けるためにこれらの近くに置かないこと
- 携帯電話
- スピーカー
- バッグ(開封部分にマグネットを使っているもの)
- マグネットを使った健康グッズ
心得7.一生使わなくていいぐらいの気概がちょうどいい
自分が欲しいと思う時計を手に入れるべき
良い機械式時計は月日が経過しても使用でき、子の代、孫の代まで使えるイメージがある。このイメージは半分正しく、機械式時計が、電池や電子回路を使用しない作りになっているため、日々のメンテナンスや定期的なオーバーホールさえ行っていれば、いつまでも使い統けることができるから。
しかし、子供のため、孫のために時計を買うというのも変な話で、更に一本の時計を一生使い続けるとは限らない。人間の好みは変わるし、流行も変化するため、絶対にシンプルな王道腕時計を探そうと意気込みすぎて、欲しくもないロレックスを買うくらいなら、もっと気軽に欲しい時計を手に入れるべきだ。
現在の自分が欲しい一本を選んだほうが満足度は高い
上部テキストにてシンプルな一本が王道だと紹介したが、どのようなシーンでも使える万能型の一本は、往々にして平凡なもとに捉えられることも。
もちろん、シンプルこそ王道なのは間違いではないが、その時計が普段の生活やファッションなどとはかけ離れているだけでなく、シンプルなものが欲しくないのに購入するのであればそれはやめておこう。
それよりも現在の自分が欲しい一本を選んだほうが満足感は高いし、結果的には愛着だって深まるだろう。大切なのは自分が満足いった一本を時と場合に合わせて着用することである。
飽きてきたらレザーベルトを使えば大きなイメージチェンジもできる
多くの機械式時計のブレスレット部分はステンレススチールなどの金属製ブレスレット。これをレザーベルトに交換するだけで大きくイメージが変わり新鮮な感覚になる。
そのため、長年付けていてちょっと変化を求めたいのであれば再度1本を購入したりするのではなく、レザーベルトにしてみるのも手。革の具合が時計とあいまって新しい一本を購入した気分にもなる。
なお、ブレスレットを外すには特殊な時計用道具であるバネ棒外しが必要。そこまで高いものではないが、外す機会が少ない場合は、時計店にお願いして交換してもらってもいい。
レザーベルトの場合は水分に注意
一つ問題なのが、レザーベルトは革製なので水分に弱いということ。日本の夏は暑くて湿気も多い。さらに梅雨の時期や夏のゲリラ豪雨、秋も思った以上に雨がふるので一年を通じて雨が降りやすい時期も多く、日常使うのであれば多少気を使う必要がある。
日本の高温多湿な気候の中で、レザーベルトを使っていくにはメンテナンスが必要。
レザーベルトのメンテナンス方法はそう難しくなく、帰宅して時計を外したら、ストラップの内側を固く絞ったタオルで水分や腕の皮脂をふき取るぐらい。どうしてもその日中にできない場合は、ティッシュでいいので軽く拭いておくだけでも革の長持ち具合が違う。
いざとなったら買取ってもらう
使わなくなったらクローゼットの奥にロレックスを仕舞い込んでおくのではなく、時計買取業者に買取ってもらうというのも視野に入れておこう。デイトナなど正規品より並行品のほうが高い超人気モデルであれば、購入時よりも高価で買い取ってもらえる可能性もある。
ロレックスであれば時計自体の精度だけでなく腕時計市場でも人気も高いブランドなので、他のブランドと比べて買取相場は高いことが多い。また、信頼できる買取店に依頼すれば正しい価値を理解した人が買取査定してくれるので、買取り依頼時に相場よりも安い金額で買い叩かれるような不安も少ない。
一方、中古品を購入する側も、信頼できる店舗で販売されている中古のロレックスは、オーバーホールや精度チェックなどの工程を経たうえで店頭に並んでいるので、中古とはいえ時計の状態は良好という安心感があるし、ほとんどのモデルが新品よりも安価で買えるというメリットもある。
なお、ロレックスがいかに買取に関して強いかという説明は「ロレックスの買取価格が高い3つの理由」で説明しているので参考に。
心得8.欲しいと思ったら決断する
最後は、欲しい時計があれば腹をくくる決断をすること。機械式時計は基本的には安い買い物ではないので、購入を躊躇することが多々あると思うが、自分の決断を信じて時計の購入を行おう。