内部空間が限られる時計は複雑な機構ほど高く、シンプルな機能ほど安い。ここでは機構の価格相場表とともに紹介していこう。
内部空間が限られる機械式腕時計は複雑な機構ほど高く、シンプルな機能ほど安い
シンプルな3針モデルほど実は仕上げがしっかりしていないと、チープな印象を与えてしまうものだが、同じクオリティの時計なら、一般的に機能が増えるほど価格は高くなる。時計の場合はスペースが限られるため、機能が複雑になるほど高額になると言い換えたほうがいいかもしれない。
欲しい機能があるなら、その相場に相当する出費は覚悟しなければいけないし、逆に予算が決まっているなら、その範囲内の機能で我慢しなければならないこともある。
機能の価格相場(高い順)
グランドコンプリケーション
ミニッツリピーター、トゥールビヨン、永久カレンダー、スプリットセコンド・クロノグラフという機械式の4大複雑機能をすべて搭載している複雑時計のこと
ミニッツリピーター
音質の異なる美しいゴングが時刻を知らせる機構。とくに1分単位で現在時がわかるのがミニッツリピーターで、特殊な部品が多いこともあって、複雑機構の最高峰と称される。
トゥールビヨン
時計部品が地球の重力によって受ける精度の誤差を、平均化させることで解消させる装置。具体的にはテンプなどの脱進・調速機をキャリッジに収めて常時回転させておく。
均時差表示機能
太陽の動きで不規則に変わる「真太陽時」と、1年を通じた太陽の動きから算出される「平均太陽時」との間に生じる時差を読み取れる機能。イクエーションとも呼ばれる。
永久カレンダー
うるう年や、月によって異なる28日~31日の暦を記憶し、ユーザーがとくに調整しなくても、年・月・曜日などを自動的に正しくカレンダー表示してくれる機構。
スプリットセコンド
クロノグラフ計測専用の秒針2本を使って、ランナー2人それぞれのタイムを計測したり、ラップタイム計測を可能にした複雑機能。フランス語で「ラトラパンテ」とも呼ばれる。
大深度防水
単に防水性能だけでなく、プロの飽和潜水に対応したヘリウムガス・エスケープ・バルブや、凄まじい水圧に耐える堅牢性など、究極のダイバーズウォッチ槻能を装備。
トリプルカレンダー
月・曜日・日付という3種類のカレンダー表示をすべて搭載したモデルのこと。月齢表示まで備えて、トリブルカレンダームーンフェイズにグレードアップすることも多い。
クロノグラフ
ストップウォッチ機能を備えた腕時計のこと。動力伝達方式は垂直クラッチ式や振動ビニオン、キャリングアーム、また作動制御はハートカムとコラムホイール式に大別できる。
ダイバーズ
ISO(国際標準化機構)で定められたタイバーズ規格をクリアする腕時計。日本ブランドの場合、それ以下の時計には防水性能を「BAR(気圧)」で表示するという自主規制がある。
シンプル3針
時刻を表示するために、時・分・秒を示す針を備えた最小限のモデル。秒針をインダイヤルで表示するスモールセコンド搭載モデルも、そのクラシックな趣に人気が集まっている。
ロレックスが高い理由
防水時計の先駆者だけにダイバーズが充実
"実用"に徹するだけに複雑時計は少ない。クロノグラフ系はデイトナと、その進化系Cal.4160を搭載したヨットマスターⅡくらいだ。一方、ダイバーズが充実していて、そのフラッグシップが3900m防水のシードゥエラーだ。