ムーブメント

Movements

腕に着用しているだけでゼンマイを巻き上げてくれる自動巻き腕時計。いまでこそ当然の機能となった自動巻き機構を最初に実用レベルまで引き上げたのはロレックス。早くからムーブメントの自社製造に乗り出したロレックスは、積極的かつ持続的に研究開発を行い続けている。

ムーヴメント

はじめに

ムーブメントとはケース内部にある時計の心臓部であり、精度を決定づける中枢。機械式時計のムーブメントは、主ゼンマイ、様々な歯車、精度を司る脱進変速機構などから構成される。

ロレックスのムーブメントは非常に優秀な精度を誇る

高精度の追求はロレックスの伝統

クロノメーター表示

機械式時計が高精度かどうかの基準は、スイスクロノメーター検定協会(C.O.S.C.)が定めていう国際的な基準がある。この基準には厳しい試験があり、合格したムーブメントだけが「クロノメーター規格」が与えられる。

この検定で最も多くの時計を合格させているがロレックス。さらに、腕時計として初めてクロノメーター級という結果を出したのもロレックス。資産価値やブランド力に目が行きやすいロレックスだが、それらは高精度である裏付けがあるからなのだ

高い精度と優れた耐久性を実現するために

ロレックスのムーブメントは組み上げただけでもある程度の精度が出せるようになっている。これは設計段階から大径のテンプや加工精度の高い部品を採用するなど、高い精度を発揮できるようにしているためだ。

その一方で振動数は毎時2万8800振動と、現在の技術力で考えるとそれほど高くはない。一般的には振動数が上がれば精度も上がると言われているが、ロレックスはそこまで振動数を高くしなくても高精度を発揮できるように設計されている。

なぜそこまで振動数を上げないのかというと、振動数が高いとムーブメントの摩耗が激しくなり耐久性が落ちてしまうため。ロレックスは低い振動数で高精度を実現しているので、ムーブメント内のパーツの摩耗は少なく、結果として高い耐久性を誇っている

現行オイスターシリーズは完全自社製の機械式ムーブメントを搭載

スイスの時計ブランドの多くはエボーシュと呼ばれるムーブメント専門メーカーから半分完成しているムーブメントを購入し、その後メーカーが独自に改良したり独自開発のパーツを組み合わせたりして使用している。

現在のロレックスは全てのムーブメントを自社で開発し製造し、常に改良に努め進化し続けている。現行オイスターシリーズはすべてスイス公認クロノメーター認定を取得している。

ムーブメントに集結した技術の粋

ロレックスの3大発明は「自動巻き機構」「デイトジャスト機構」「オイスターケース」だが、この発明の後もロレックスは数々の発明や技術を生み出している。

現代ロレックスにおいて特に評価されているのが、ムーブメントに集約された技術と素材。例えば時計の精度を司る機構であるテンプを支える両持ち式ブリッジは非常に高い安定性を誇る。また、精度調整機構としてロレックス独自技術であるマイクロステラナットも装備。さらに、耐衝撃・耐磁気のためにパラフレックス耐震装置やパラクロムヒゲゼンマイを備えるなど様々な最新技術がムーブメントに盛り込まれている。

高効率の自動巻き機構[昔からある]

1931年に両方向回転式ローターを世界で初めて採用した、高効率の自動巻き機構。30年代に2つの切り替え車を搭載した双方向巻上げ式へ改良されて、一段と効率的な機構となっている。

瞬間的に日付の表示が送られるデイトジャスト機構[昔からある]

デイトジャスト機構とは深夜12時前後に、瞬間的に日付の表示が送られる画期的な仕組みで、1943年に実用化された。それまでの時計の日付表示は徐々にしか送られないという常識を覆した機構であり、当初は驚きをもって迎えられた。

パラクロムを用いた巻き上げ式のヒゲゼンマイ[新しく開発]

ヒゲゼンマイとはテンプを規則的に回転運動させる動力となる繊細なゼンマイ。香箱に入っているゼンマイよりもかなり小さく、アンクルから 伝達される反復運動を一定の規則正しい振動周期にして、テンプの回転を調整するためのものである。

ロレックスが2000年に開発したパラクロムヒゲゼンマイ(パラクロムとはニオブにジルコニウムを混ぜた合金)は、精度の安定性を追求するために約5年の研究開発の末に完成させたもの。従来のヒゲゼンマイの素材では精度の安定性は確保できていた一方で、磁界の影響を受けやすいという弱点があったが、パラクロムは磁力と温度変化耐性、耐衝撃性に優れ、高い性能を発揮している。

このパラクロムヒゲゼンマイはCal.4130から随時使われており、現時点ではほぼ全てのモデルで標準装備されている(一部のモデルは2014年発表のシリコン製のヒゲゼンマイを採用)。

耐衝撃性にも優れたマイクロステラナット[新しく開発]

ロレックスの高い精度を維持している技術の一つにマイクロステラナットというものがある。これは緩急針の代わりにテンプに取り付けたナットまたはネジで緩急を調整するという方式。調整システムの完成形とされ、ロレックス独自の技術だ。

この技術の優れているところは、ヒゲゼンマイに直接触れることなく重量バランスを調整するためにナットを回して安定した規則正しいテンプの運動にして高精度を維持すること。この方式は摩擦による劣化を防ぐことができるだけでなく、外的ショックを受けた際にもヒゲゼンマイにダメージを与えることもないため、耐衝撃性にも優れている。

この方式は、現時点でも最も優れた緩急調整と言われているが、調整が難しく、高い加工精度をパーツに施すことが必要なので、採用できるブランドは技術力が高いブランドに限られる。

パラフレックスショックアブソーバーが耐衝撃性を向上[新しく開発した技術]

時計を落としたり、外的な衝撃を受けたりした際に天真が折れることを低減する耐震装置。現在の腕時計では欠かせないものとなっている。ロレックスが開発し、2006年に特許を取得したパラフレックスショックアブソーバーは、従来の耐震装置に比べて耐衝撃性を最大50%向上させた優れた技術。

衝撃を受けた場合、天真からの衝撃を石が受け止め、それを覆うスプリングがサスペンションの役割を果たし衝撃を緩和。さらに強い衝撃を受けた場合は天真が折れないよう装置が外れるような仕組みになっている。

現時点ではエクスプローラーIとⅡ、オイスターパーペチュアル39、スカイドゥエラー、チェリーニシリーズのほか、3200系ムーブメント搭載モデルで採用されている。

独自の精度規格である高精度クロノメーター規格を適用

2015年から独自の精度規格を全モデルに適用

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クロノメーターとは、クロノメーター検定協会(C.O.S.C.)が定める検定に合格したもの。ロレックスではかつてノンクロノメーター仕様も展開していたが、現在は全てのモデルでクロノメータームーブメントを採用。

さらに、ロレックスでは2015年より精度の強化を目的に、従来のスイスクロノメーター検査に加えて、独自の社内規格として「高精度クロノメーター」を設けて全モデルに適用。高い精度を維持できる社内体制によって、実用時計の最高峰として信頼性と機能性が追求されている

スイスクロノメーターよりも高い精度を求められる

ロレックスが定めた高精度クロノメーターは非常に高い精度が求められ、例えばスイスクロノメーターの規定が平均日差マイナス4秒秒プラス6秒(直径20mm以上)以内であるのに対して、高精度クロノメーターではマイナス2秒からプラス2秒以内というスイスクロノメーター以上の厳しい基準を設けている。

さらに検査に関しても、スイスクロノメーターはムーブメントを対象としたものだが、高精度クロノメーターは製品となる直前のケーシングした状態で検定を実施。検査時は精度以外にも、保証する防水性能プラス10%以上の水圧でテストを行うなど、厳しい基準を設けている。

このようなロレックス独自の厳しい検査を通過した時計だけが流通できるため、高精度クロノメーターモデルはメーカー保証期間がこれまでの2年から5年に延長されているなど、ロレックスの品質への自信が伺える。

高精度クロノメーターはこのような検査要項を通過してはじめて認められる

精度検査 スイスクロノメーターの精度検査は平均日差がマイナス4からプラス6秒以内と規定されているが、ロレックスの高精度クロノメーターではマイナス2秒からプラス2秒以内と厳しい規定。
パワーリザーブ検査 検査開始時にゼンマイを完全に巻き上げ、適切な時間パワーリザーブが保持されているのかを実際に行って検査する。
防水検査 防水性能の検査では文字盤などに表記された保証水深より10%深い部分での水圧で検証して防水性能を証明している。さらにダイバーズウォッチの場合は保証水深より25%深い部分で水圧チェックが行われる
自動巻き検査 ケーシングの際に自動巻き機構の巻き上げ部品に詰まりや摩擦が生じていないかを検査。

ロレックスの自社ムーブメントを一部紹介

昔のロレックスは他社からムーブメントの供給を受けていたが、現在はすべて自社生産している。開発から製造には技術力や手間やコストがかかるが、ロレックスはそれを成し遂げ、全てのムーブメントでクロノメーターを取得している。以前のムーブメントは約48時間という駆動時間の短さだったが2015年に発表された3200系は約70時間パワーリザーブを実現している。

自動巻きクロノグラフムーブメント Cal.4130

ロレックス悲願の自社製クロノグラフ用ムーブメント

デイトナに代表されるクロノグラフ用のムーブメントに限り、他社から供給を受けてきたロレックスだが、2000年にCal.4130の自社開発に成功し、初の完全自社開発。垂直クラッチ方式など画期的なメカニズムを搭載したクロノメーターとして最高峰の品質を備えている。2000年以降複数回のマイナーチェンジを実施している。

振動数 毎時2万8800振動
パワーリザーブ 約72時間
巻き上げ 両方向巻き上げ式
初出 2000年

搭載モデル例:コスモグラフデイトナ

自動巻き3針ムーブメント(曜日表示付き)Cal.3255

最高級仕様のムーブメント

Cal.3255はCal.3235と同じく、2015年のバーゼルワールドで発表されたモデル。最大の特徴である約70時間のパワーリザーブを備えたり、最新版のパーペチュアル機構を搭載したり、一般的なヒゲセンマイの10倍の耐衝撃性を誇るパラクロムヒゲゼンマイを用いている。他にもエネルギーの伝達効率を約15%向上させるクロナジーエスケープメントを用いるなどロレックスの最新技術を結集したムーブメントに仕上がっている。

振動数 毎時2万8800振動
パワーリザーブ 約70時間
巻き上げ 両方向巻き上げ式
初出 2015年

搭載モデル例 デイデイト40

自動巻き3針ムーブメント Cal.3235

次世代の中軸ムーブメント

14件の特許を取得し、技術の粋を集め開発されたロレックス製の最新ムーブメントのCal.3235。伝統的なスイスレバー脱進機に改良を加えて性能を最適化させたクロナジーエスケープメン卜などによりエネルギー効率が約15%向上。

さらに約70時間ものパワーリザーブを実現するために香箱の壁を薄くして大きな動力ゼンマイを収納。その精度は高くロレックス独自の高精度クロノメーターに合格する。他にも耐磁耐衝撃性に優れたパラクロムヒゲゼンマイ、耐衝撃性が高められたパラフレックスショックアブソーバーなど、最新のムーブメントにふさわしい性能を備えている。

振動数 毎時2万8800振動
パワーリザーブ 約70時間
巻き上げ 両方向巻き上げ式
初出 2016年

搭載モデル例 デイトジャスト36・41/シードゥエラー/ディープシー

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